

「新しくレンタカー事業を始めたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」、「許可申請や資金、車両の準備など、全体像が複雑で難しそう……」。
現在、カーシェアやサブスクといった「車の所有から利用へ」という変化の中で、レンタカー事業への参入を検討する方が増えています。
実は、車関連の設備や駐車場を既にお持ちの事業者様にとって、レンタカーは非常に相性の良いビジネスです。
そこで今回の記事では、レンタカー事業の立ち上げから効率的な運営まで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します!

レンタカー事業(正式名称:自家用自動車の有償貸渡業)は、国から「許可」をもらって行うビジネスです。
日本のモビリティ産業は大きな転換点にあります。かつては「車を持つこと」がステータスでしたが、現在は必要な時だけ利用する「サービスとしての移動(MaaS)」へとシフトしています。
特に、自動車販売店や整備工場、ガソリンスタンドなどの既存設備を活かして、遊休資産(代車や中古在庫)を有効活用できるため、他業種に比べて参入障壁が低いのが特徴です。
レンタカー事業は、道路運送法第80条に基づき、国土交通大臣(管轄の運輸支局)の許可を得ることで初めて成立します。
この許可制度は、利用者の保護と道路交通の安全を守るために設けられています。
また、レンタカー事業は「始めるまでの準備」が重要である一方、一度全体像を整理してしまえば、検討すべきポイントは大きく分けて整理できます。
開業前の段階で、「どんな手続きが必要なのか」「どのくらいの資金を想定しておくべきか」
「開業後にどんな運営課題が出やすいのか」といった点を順序立てて把握しておくことで、無理のない事業計画を立てやすくなります。
本章では、細かな制度や数字の話に入る前に、レンタカー事業を始めるための全体像をつかむことを目的として解説していきます。

レンタカー事業の開業までのステップは、大きく分けて 4つのフェーズ に分類できます。
ここでは、制度や書類の細かな説明に入る前に、「どの順番で何を考え、準備していくのか」という全体の流れをつかむことを目的に整理します。
まずは、どのような形でレンタカー事業を行うのかを整理します。
具体的には、次のような点を検討します。
また、運営形態としては大きく次の選択肢があります。
この段階では、完璧な計画を立てる必要はなく、「自社はどの方向性を目指すのか」を大まかに決めておくことが重要です。
次に、事業を行うための物理的な準備を進めます。
駐車場については、事務所から一定の距離内に設ける必要があるなど、制度上の要件が定められています。
そのため、物件探しの段階で、管轄の運輸支局に確認しながら進めると安心です。
車両についても、新たに購入する、リースを利用する、既存の車両(代車・在庫車など)を活用するといった選択肢があり、事業規模や資金計画に応じて検討します。
事業内容や拠点の方向性が固まったら、管轄の運輸支局へ レンタカー事業の許可申請 を行います。
申請後は、書類確認や要件確認などが行われ、審査には一定の期間(目安として数週間〜1か月程度)を要するケースが一般的です。
※具体的な期間は地域や申請内容によって異なります。
この段階で不備があると、修正対応や再提出が必要になる場合もあるため、事前に公式資料を確認しながら準備することが重要です。
許可が下りた後、登録免許税の納付や必要な登録手続きを経て、車両のナンバーを「わ」ナンバーに変更し、営業開始となります。
ただし、ここで終わりではありません。
実際に運営を始めると、
など、想定以上に業務が発生するケースも少なくありません。
そのため、開業前の段階から「どの業務にどれくらい時間がかかりそうか」「将来的に効率化できそうな部分はどこか」を意識しておくことが、スムーズな運営につながります。
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レンタカー開業「理想と現実」|よくある失敗パターン5選とリスク回避策

レンタカー事業の開業にあたっては、一定の手続きや申請が必要となります。
専門的な確認が必要な部分もありますが、全体像とポイントを押さえておくことで、初心者の方でも準備を進めやすくなります。
本章では、細かな書式の説明に入る前に、「どのような申請が必要になるのか」「どんな要件が関係してくるのか」といった基本的な考え方を整理します。
レンタカー事業は「自家用自動車の有償貸渡」に該当し、主たる事務所を管轄する運輸支局へ申請を行い、許可を得る必要があります。
提出書類の内容は地域や事業形態によって異なる場合がありますが、一般的には次のような書類が求められるケースが多く見られます。
どの書類が必要か、どの様式を使うかについては、必ず管轄の運輸支局が公開している公式資料を確認することが前提となります。
レンタカー事業では、万が一の事故に備え、許可基準で定められた補償内容を満たす保険への加入が求められます。
一般的に示されている補償額の目安は次のとおりです。
これらはあくまで最低限満たすべき基準の一例であり、最新の条件や詳細は公式資料・保険会社への確認が必要です。
参考:レンタカーに保険(補償)は必須?レンタカーを借りるときの自動車保険について
車両台数や車種構成によっては、管理者の選任が必要になる場合があります。
代表的なものとして、次のような管理者が挙げられます。
これらの基準についても、最終的には管轄の運輸支局や警察署の公式案内で確認することが重要です。
手続きや要件は制度改正や地域差の影響を受けることがあります。
そのため、本記事はあくまで全体像をつかむための整理として活用し、具体的な判断や申請にあたっては、必ず公式資料を確認してください。

レンタカーとして使用される車両には、いわゆる 「わ(または れ)」ナンバー が付与されます。これは、車両が「自家用」ではなく、有償で貸し出される事業用車両であることを示すものです。
「わ」ナンバーの取得には、レンタカー事業としての許可取得を前提とした、一定の法的な手続きとルールがあります。
運輸支局から「許可」が下りた後、登録免許税を納付してから車両の登録変更(わナンバー化)を行います 。
中古車をレンタカーにする場合も、この時にナンバープレートを変更します。
※許可前に「わ」ナンバーへ変更することはできないため、事業計画と車両準備の順番を誤らないよう注意が必要です。
レンタカーとして登録された車両は、自家用車とは異なる車検制度が適用されます。
特に普通乗用車の場合、車検の周期が短くなる点は、運営コストを考えるうえで重要なポイントです。
普通乗用車は車検頻度が高くなるため、自家用車として使用する場合と比べて、維持コストが上がりやすい傾向があります。
一方で、軽自動車はレンタカーであっても自家用と同じ2年周期で車検を受けることができるため、車検コストや運用負担を抑えやすいという特徴があります。
そのため、初期費用や維持費を抑えたい、価格重視のレンタカーサービスを検討しているといったケースでは、軽自動車を主軸にした車両構成を選択する事業者も多く見られます。
ただし、どの車種が適しているかは、ターゲット顧客や地域特性、利用シーンによっても異なるため、車検コストだけでなく、需要とのバランスを考えて検討することが重要です。

レンタカー事業の開業資金は、「車両にかかる費用」と「事務・運営にかかる費用」があります。
特に初めてレンタカー事業を行う場合は、いきなり大規模に始めるのではなく、小規模でスタートし、運営しながら調整していくという考え方が現実的です。
本章では、車両5台程度で小規模に始めるケースを想定し、開業資金の考え方と内訳の目安を整理します。
レンタカー事業の許可取得にあたり、登録免許税は必ず発生する費用です。
金額が明確なため、資金計画には最初から組み込んでおくと安心です。
新車か中古車か、軽自動車か普通車か、購入またはリースかといった選択によって、必要資金は大きく変わります。
特に小規模スタートの場合は、中古車を活用して初期投資を抑えるという選択肢も現実的です。
事務所や駐車場を新たに借りる場合は、敷金・礼金・初期賃料などが発生します。
一方で、既存の事務所または自社敷地内の駐車場などを活用できる場合は、この費用を大きく抑えられる可能性があります。
PCやプリンターなどの基本的な備品に加え、予約業務の管理ツールを導入する場合は、初期費用・月額費用を含めて検討しておく必要があります。
許可申請を自社で行うことも可能ですが、書類作成や事前確認に不安がある場合は、行政書士に依頼するケースもあります。
依頼する場合は、どこまで対応してもらえるのか、修正対応や追加費用の有無を事前に確認しておくことが大切です。
開業資金を考える際は、初期費用だけでなく、運営を続けるための運転資金も忘れずに確保しておく必要があります。
少なくとも、数か月分の固定費を見込んだ余裕資金を確保しておくと、開業後の資金繰りが安定しやすくなります。
レンタカー事業は、飲食店などのビジネス(初期投資1,000万円以上になるケースも多い)と比較すると、車両という資産が手元に残るという特徴があります。
事業方針の見直しや撤退を検討する場合でも、車両を売却・転用できる可能性があるため、リスクをコントロールしやすいビジネスモデルと言えるでしょう。
参考:
レンタカー開業に必要な初期投資はいくらかかる?安く開業する方法を解説!
レンタカーの開業に必要な資金の内訳と調達方法

レンタカー事業は、開業準備段階では手続きや資金に意識が向きがちですが、実際に運営を開始してから見えてくる課題も少なくありません。
特に、小規模・少人数でスタートするケースでは、アナログな管理方法のまま運営を続けることで、日々の業務負担が想定以上に大きくなることがあります。
ここでは、レンタカー事業者が直面しやすい代表的な課題を整理します。
レンタカーの貸渡時には、次のような作業が発生します。
これらをすべて対面で行う場合、1組あたり20〜30分程度かかることも珍しくありません。
繁忙期や複数の予約が重なる時間帯には、カウンターが混雑する、お客様を待たせてしまう、スタッフ側も焦りが出るといった状況になりやすく、サービス品質の低下につながるリスクもあります。
予約管理を紙やExcelで行っている場合、ダブルブッキング(重複予約)が発生しやすくなります。
また、次のような情報共有の抜け漏れも起こりがちです。
こうした情報がリアルタイムで共有されていないと、現場対応が後手に回り、結果としてクレームや業務の混乱につながるケースもあります。
レンタカー事業を少人数で運営している場合、電話対応や受付・契約、洗車・車両移動といった日常業務に追われ、経営状況の分析や業務改善に時間を割けなくなることがあります。
また、業務が特定のスタッフに集中すると、「その人がいないと回らない」、引き継ぎがうまく進まないといった 属人化 が進みやすくなります。
これは、スタッフの負担増だけでなく、事業の安定運営や将来的な拡大を考えるうえでも課題になりやすいポイントです。
このように、レンタカー事業では「開業後」にこそ、業務の効率化や仕組みづくりの重要性が見えてきます。
次章では、こうした課題に対して、どのような考え方や手段で効率化を図れるのかを紹介していきます。
<関連記事>
中小レンタカー店舗必見!人手不足を乗り切る5つの実践対策

前章で触れたように、レンタカー事業では受付対応や予約管理、車両管理といった日々の業務が積み重なり、少人数で運営している場合ほど負担が大きくなりがちです。
こうした課題に対する選択肢のひとつが、業務をデジタル化し、仕組みで負担を減らすこと(DX) です。
ここでは、株式会社KAFLIX CLOUD(以下、当社)が提供する「REborn」 と受付端末を例に、効率化の考え方を整理します。
REbornは、当社が提供する レンタカー業務向けのシステム です。
予約情報や顧客情報、車両情報などを、まとめて管理することを目的としています。
こうした仕組みを取り入れることで、「誰が対応しても同じ流れで業務を進められる」状態を作りやすくなります。
当社では、レンタカー向けの受付端末も提供しています。
これは、貸渡前の手続きを端末上で行うことで、対面での受付作業を減らすことを目的とした仕組みです。
従来、対面で行っていた受付業務の一部を端末に任せることで、受付対応にかかる時間や人的負担を軽減できる可能性があります。
REbornと受付端末を組み合わせることで、次のような運営改善を目指す考え方があります。
これにより、「人を増やさずに、今の体制でどう回すか」を考える際の一つの選択肢になります。

レンタカー事業は、事前準備と運営設計をしっかり行えば、無理なくスタートしやすいビジネスです。
特に重要なポイントは、次の4点です。
レンタカー事業は、準備・資金・運営をバランスよく整えることで、地域の移動を支える、継続性のあるビジネスへと育てていくことができます。