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レンタカー店舗無人化のリアル|法令を守りながら省人化するハイブリッド店舗運営とは

2025.12.11
レンタカー店舗無人化のリアル|法令を守りながら省人化するハイブリッド店舗運営とは

レンタカー無人店舗運営に注目が集まる背景

ここ数年、レンタカー業界では、「スタッフの確保が難しい」、「時給や社会保険料の負担が重い」、「繁忙期はカウンターが行列になりクレームも増える」などといった課題が各社共通の悩みになっています。

その中で増えてきたのが、「レンタカーの店舗運営を無人にできないか?」という相談です。

一方で、レンタカー事業は道路運送法第80条に基づく「自家用自動車有償貸渡し」として許可制となっており、国土交通省の公表資料や通達に沿って運営する必要があります。

そこで、今回の記事では、現行の法令を遵守しながら可能な限り業務を自動化する「ハイブリッド店舗運営」の仕組みと、その実現に向けた具体的なステップについて紹介します。

「完全無人」はなぜ難しい?法令の壁と「ハイブリッド型」という選択

レンタカー利用イメージ

国土交通省が公表している「カーシェアリング導入に関する資料」では、レンタカー事業は通達により「店舗において利用者と面談する必要性が示され、無人貸渡しは認められていない」、一方でカーシェアリングは、ITの活用などを条件に無人での貸渡しが認められていると明記されています。

また、レンタカー許可の通達(自旅第138号等)では、

  • 店舗ごとに配置する責任者
  • スタッフへの指導・研修計画
  • 貸渡し実施方法を定めた「貸渡しの実施計画」

などを整備することが求められています。

つまり現行制度は「人が関与する前提」で設計されているため、 「店舗に一切人がいない完全無人でのレンタカー運営」は、法律・通達の枠組み上かなりハードルが高いのが実情です。

とはいえ、「すべての手続きを対面で行う必要がある」、「すべての時間帯に複数名を配置しなければならない」というわけでもありません。

「どこまでなら無人化・省人化できるのか」を整理し、法令を守りながら人手不足を軽減するハイブリッド型を目指すのが現実的な方向性と言えます。

参考:
国土交通省「レンタカー事業」
国土交通省 自旅第138号「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」
行政書士法人シグマ「レンタカー業を始めるための許可(自家用自動車有償貸渡業許可)」

なぜカーシェアリングは無人で対応できて、レンタカーは難しいのか

レンタカー貸渡

同じ「車両を貸すサービス」でも、カーシェアリングとレンタカーでは前提となる仕組みが違うため、無人運用の難易度に差が出ています。

カーシェアリングの特徴

国土交通省の資料では、カーシェアリングはレンタカー事業の一種として位置づけられていますが、次のような特例が設けられています。

  • 事業は会員制
  • 会員登録時に免許証・本人確認を実施
  • その後の利用は、IT等を活用して車両状況や貸渡し状況を把握することを条件に
    無人のステーションからの貸渡しが認められている

つまり、「初回登録の段階で対面の確認を行い、その後の貸渡し・返却はIT管理で無人でもよい」という設計が、制度上あらかじめ組み込まれています。

一般的なレンタカー事業の特徴

一方、一般的なレンタカー事業は、

  • 利用者がその都度申し込み
  • 店舗での貸渡手続き(免許確認・説明・書類交付など)
  • 貸渡しの適正化を図るため、店舗ごとに責任者やスタッフ体制、実施計画を整備

といった「有人の店舗運営」を前提としたルールで整理されています。

この違いを簡単にまとめると、次のようになります。

  • カーシェアリング:会員制+IT活用を前提に「無人ステーションで貸渡し可能」という特例付き
  • レンタカー:店舗における貸渡手続き・管理体制を前提にした運用

そのため、レンタカーを「いきなりカーシェアリングと同じフル無人モデル」にするのは、現行の通達や運用の枠組みでは難しいと考えられます。

参考:
国土交通省「カーシェアリング導入に関する資料」
「環境にやさしいレンタカー型カーシェアリングの推進」

どこまでできる?レンタカー無人店舗運営のポイント

ここからは、レンタカー店舗の運営を

1.来店前
2.受付・契約
3.車両チェック
4.鍵の受け渡し

といったプロセスに分解し、どこまで無人化・省人化できるかを整理します。

1.来店前の業務を減らす「事前チェックイン」

レンタカー検索

カウンターが混雑する大きな要因は、氏名・住所・連絡先・免許証情報などの入力や支払情報の確認といった事務的なやり取りがすべて対面で発生していることです。

海外のレンタカー・モビリティ系サービスでは、Webフォームやアプリで免許証画像のアップロード、基本情報の登録、支払手段の登録を行い、店頭では「最終確認と受け渡し」だけといった事前チェックイン型の運用が一般化しつつあります。

これを日本のレンタカー店舗にそのまま適用するには、貸渡方法や約款との整合性を取る必要がありますが、「来店時点で、可能な限り入力済みの状態にしておく」という考え方は、法令の範囲内で十分に取り入れられます。

2.無人受付機という選択肢

出発受付のイメージ

来店後の受付を省人化する方法として、無人受付機を設置するケースも増えています。

一般論として、カウンター横に置けるコンパクトな端末タイプや店舗入口や駐車場に設置する独立筐体、免許証読み取り・顔認証・決済機能まで備えた多機能無人受付機など、店舗規模や導線に応じたラインナップが存在します。

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他社事例では、無人受付機と専用システムを連携させ、24時間の貸出・返却手続きの自動化をうたうサービスも登場しています。

ここで大事なのは、「どこまでを無人受付機に任せるか」、「どういう場合に人が前面に出るか」という「役割分担」を明確にしておくことです。

<参考記事>
中小も必見!大手レンタカー会社3社が採用する無人受付機と導入の狙い

3.出発前・返却時の車両チェックを効率化する「カースキャニング」

Dealerships - UVeye
引用:Dealerships - UVeye

車両の外装チェックは、レンタカーの現場でも時間がかかる業務です。

海外では、UVeyeのようなAI搭載のカースキャニングシステムが、レンタカー会社向けソリューションとして提供されています。

ゲート状の装置を通過するだけで、タイヤ・外装・下回りなどを自動撮影・解析し損傷の有無を自動検知・記録するといった仕組みが紹介されています。

一方で、海外の一部メディア報道や利用者の声として、ごく小さなスカッフ(こすれ傷)まで検知して高額請求につながったり、利用者側が「その傷はもともとあった」と主張するトラブルも発生しているといった課題も指摘されています。

日本のレンタカー店舗でこうした技術を活用する場合は、「人による最終判断を補助するツール」として使い、写真記録や比較のための証跡づくりに活用するといった半自動化の位置づけが現実的でしょう。

4.鍵の受け渡しを人に頼らない「キーボックス・デジタルキー」

レンタカーの鍵管理 | Keycafe
引用:Keycafe

鍵の受け渡しも、スタッフの拘束時間が長くなりやすいポイントです。

海外では、鍵をスマートボックスで管理し、暗証番号やアプリで受け渡しするサービスやスマートフォンで車両の解錠・施錠を行うキーレス型ソリューション、デジタルキーを複数発行し、一定期間だけ有効にする仕組みなど、鍵管理の省人化に特化したサービスが増えています。

日本のレンタカー店舗では、営業時間外・早朝・深夜のみキーボックスを活用する、スタッフのいる時間帯は対面で受け渡しつつ、混雑時の一部受け渡しだけキーボックスに振り分けるといった一部導入からスタートするのが現実的です。

参考:
UVeye「The New Standard for Rental Car Inspections」
Hertz and UVeyeの提携紹介記事
Keycafe「Key Management for Car Rental」
Coastr「Keyless Entry for Car Rentals」
MoboKey「Remote Start Your Rental Car with MoboKey App」

法令を守りながら省人化する「ハイブリッド型」店舗運営

5つの具体策

ここまでを見ると、「技術的にはかなり無人化できそうだけれど、法律的にはどう整理すれば良いのか?」という疑問が出てきます。

結論から言うと、現行の枠組みでは、

  • 店舗ごとに責任者を配置し、適切な管理体制を整えること
  • 貸渡しの実施計画や約款に沿って、貸渡し・返却を実施すること

が前提とされています。

一方で、カーシェアリングに関する資料では、

  • レンタカー事業では通達により「店舗において利用者と面談する必要性が示され、無人貸渡しは認められていない」
  • カーシェアリング事業は、
    IT化等により車両状況を把握できることを条件に無人化が認められている

と明記されており、両者の違いが再確認できます。

この前提に立つと、レンタカー店舗で現実的に目指すべきは、「完全無人店舗」ではなく、「責任者は置きつつ、できる限り無人受付機に任せる省人化モデル」です。

人と無人受付機の役割分担を整理する

具体的には、次のような切り分けが考えられます。

人が担当した方がよい業務

  • トラブル・クレーム対応
  • 安全運転や補償内容についての丁寧な説明
  • 例外対応(延長・事故対応など)
  • 社内ルールに基づく最終判断

無人受付機/アプリに任せられる業務

  • 氏名・住所・連絡先などの入力
  • 免許証情報の読み取り・有効期限チェック
  • 契約内容の表示・同意操作
  • 支払い手続き
  • 車両状態の記録(写真・スキャンなど)
  • 鍵の受け渡しの一部

このように、「説明・判断」は人が、「入力・記録・反復的な処理」は無人受付機が担当するという役割分担を明確にすることで、法令を守りつつ現場の負荷を大きく減らすことができます。

小さく始めるステップ例

省人化を進めるうえでは、次のような段階的なアプローチが現実的です。

  1. 事前チェックインの導入
    事前に入力してもらう項目を整備し、カウンターでの入力時間を削減
  2. 無人受付機の導入
    受付〜契約内容の確認〜支払いまでを行い、人はサポートに回る
  3. 鍵の無人受け渡しの導入
    キーボックスやデジタルキーを活用し、営業時間外や混雑時の受け渡しを機械側に振り分ける

このように段階を踏むことで、法令への適合性を確かめながらスタッフの負荷を徐々に下げていくことが可能になります。

<参考記事>
レンタカー受付の「人手不足」を解決!無人受付機運用ガイド

受付業務を限りなく無人化するKAFLIX CLOUDの「無人受付機」

KAFLIX CLOUDのセルフチェックイン機について
KAFLIX CLOUDの無人受付機

最後に、受付業務をどこまで無人受付機に任せられるかの具体例として、KAFLIX CLOUDが提供する「無人受付機」のイメージをご紹介します。

無人受付機で完結できること

KAFLIX CLOUDの無人受付機は、レンタカー事業に特化して設計されており、営業資料では次のような機能が紹介されています。

  • 事前に登録された電話番号などを用いた簡易受付
  • 免許証スキャンによる有効期限などのチェック(AI分析を含む構成)
  • 顔認証による本人確認(免許証の顔写真との照合)
  • 多言語での画面表示
  • クレジットカード等によるキャッシュレス決済に対応
  • 受付完了後に、登録アドレス宛へ契約書の電子送信

これらを組み合わせることで、来店時の受付〜本人確認〜契約内容の確認・同意〜支払いといった一連の流れを、無人受付機で完結させる運用が可能になります。

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無人受付機がもたらす効果

無人受付機を店舗に導入することで、たとえば次のような効果が期待できます。

  • 繁忙期の受付待ち時間を短縮し、行列を軽減できる
  • スタッフ1名でも、複数台の無人受付機と組み合わせることで多くの受付を同時処理できる
  • 夜間・早朝など特定時間帯は、無人受付機を中心に運用しつつ、必要なタイミングだけ人が対応する
KIOSK(キオスク)端末でのセルフチェックイン
無人受付機設置前と設置後

つまり、無人受付機を「受付の中心にあるフロント端末」として位置づけることで、法令上求められる責任者・店舗は維持しながら、日常の受付業務そのものは限りなく無人に近い形で運営するというハイブリッドな店舗運営が現実的に目指せます。

<参考記事>
無人受付機でレンタカー受付を効率化!人手不足解消と業務効率UPを実現

まとめ:完全無人ではなく「現実的な省人化」から始める

柔軟な働き方

最後に、ポイントを整理します。

  • 現行の法令・通達では、レンタカー事業は店舗ごとに責任者を置き、貸渡しを適正に行うことが求められており、資料にも「貸渡し店舗での面談を前提にしており、無人貸渡しは認められていない」と明記されています。
  • 一方、カーシェアリングは会員制+IT管理+無人ステーションというモデルを前提に特例が設けられており、無人運用が制度上認められています。

したがって、レンタカーで目指すべきは「完全無人店舗」ではなく、法令を守りながら人の負担を減らす“省人化”です。

そのための具体的な手段として、

  • 事前チェックインで来店時の手続きを圧縮する
  • 無人受付機に受付〜本人確認〜契約〜支払いを集約する
  • カースキャニングで車両チェックの一部を自動化する(人による最終確認と併用)
  • キーボックス・デジタルキーで鍵の受け渡しを省人化する

といった施策を組み合わせれば、人手不足・人件費の高騰や繁忙期の待ち時間、クレーム、ベテランスタッフへの過度な依存といった課題を、法令遵守を前提にしつつ着実に軽減することができます。

まずは、自社の業務フローを 「人の判断が必要な部分」「無人受付機に任せられる部分」に分解し、小さく試せるところから省人化を始めていくこと。

その一歩が、「レンタカー無人店舗運営」に限りなく近いハイブリッド運営への最短ルートになります。

弊社について

株式会社KAFLIX CLOUD

株式会社KAFLIXCLOUD(カフリックスクラウド)といいます。レンタカー業界が抱える人手不足や、アナログ対応による業務過多といった悩み解決を目指すレンタカー予約管理システムを提供しています。
日本全国のレンタカー事業者の皆様と向き合いながら、現場の業務負担軽減に関するお悩みにこれからも耳を傾けつづけます。

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