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2025-06-05

公開日:2025年6月5日 | 最終更新:2026年7月16日 | 著者:KAFLIX CLOUD株式会社
<関連記事>人手不足そのものへの打ち手を整理したい方はこちら:中小レンタカー店舗必見!人手不足を乗り切る5つの実践対策
レンタカー店舗のカスハラ対策は、「対応方針の明文化と掲示」「スタッフ研修」「録音・録画」「第三者相談窓口」「対応ルールの整備」の5つが基本です。組織として守る姿勢を先に示すことが、現場スタッフの安心とサービス品質、そして離職防止につながります。
暴言や理不尽な要求への対応が続くと、現場のスタッフは静かに疲れていきます。とくに小規模のレンタカー店舗は受付に立つ人数が限られるため、一人あたりが受け止める負担は重くなりがちです。「もう辞めたい」という声が出る前に、店舗として何を用意しておけばよいのか。この記事では、厚生労働省の考え方を土台にしながら、レンタカー店舗が今日から取り組めるカスハラ対策を、具体例と手順に落とし込んで整理します。読み終えるころには、自店で最初に手をつけるべき対策の順序が見えてくるはずです。
本題に入る前に、レンタカー店舗の運営者からよく寄せられる3つの疑問に短く答えておきます。
この記事のよくある3つの疑問
正当な指摘や改善要望はクレームであり、店舗が受け止めるべきものです。一方カスハラは、社会通念を超えた過剰な要求や、暴言・長時間の拘束・人格否定など、要求の中身や手段が度を越えた言動を指します。厚生労働省も、こうした行為には企業が組織として対処する必要があると示しています。
あります。コストをかけずに始められるのは、対応方針を紙に書いて受付に掲示すること、トラブル時の記録と上長報告のルールを決めておくこと、そしてスタッフ同士で対応例を共有しておくことです。設備投資よりも「一人にしない体制」を先に整えるのが近道です。
トヨタモビリティサービスやニッポンレンタカーは、カスハラへの基本方針を策定し、店頭掲示や自社サイトで対外的に公表しています。「不当な要求にはサービス提供を控える場合がある」と明言することで、スタッフの尊厳と安全を守る姿勢を社内外に示しています。詳しくは本文で紹介します。

カスタマーハラスメントとは、顧客などが従業員に対し、社会通念を逸脱した過剰な要求や威圧的・侮辱的な言動を繰り返し、心身に負担を与える行為を指します。料金の値下げを求めて長時間居座る、受付スタッフに暴言を浴びせる、要求を通すために大声で威嚇する——こうした度を越えた行動が典型例です。正当な意見や改善要望とは区別して考える必要があります。
厚生労働省の「職場におけるカスタマーハラスメント対策マニュアル」では、企業がこうした行為へ適切に対処することの重要性が示されています。マニュアルが企業に求めている取り組みは、大きく次のように整理できます。
参考:厚生労働省「職場におけるカスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(PDF)

カスハラは接客業全般の問題ですが、レンタカー業界も例外ではありません。とくに受付業務は顧客と対面する機会が多く、理不尽な要求や不当なクレームにさらされやすい立場です。実際に現場で報告されている代表的な場面を、起こりやすい背景とあわせて整理しました。
| カスハラが起こりやすい場面 | 現場で見られる言動 |
|---|---|
| 予約・在庫トラブル | 予約の遅延や在庫切れに対して暴言を浴びせたり、怒鳴りつけたりする |
| 車両の状態をめぐる難癖 | 小さな傷や汚れに難癖をつけ、スタッフの説明に耳を貸さない |
| 接客態度への過敏な反応 | 接客態度に過剰に反応し、繰り返し謝罪を求め続ける |
| SNSを盾にした要求 | 店舗批判の投稿をちらつかせ、謝罪や割引を求める |
| 個人への攻撃 | 特定のスタッフを名指しで批判し、業務と無関係な私的領域にまで踏み込む |
これらはいずれも、スタッフのモチベーションを著しく下げる要因になります。受付という接点の多さゆえに、レンタカー店舗では日常業務のなかで遭遇しやすいという認識を、まず店舗全体で共有しておきたいところです。受付でのやり取りをできるだけ標準化しておく観点では、レンタカー受付の「人手不足」を解決!セルフチェックイン機運用ガイドも参考になります。

カスハラがやっかいなのは、被害が一人のスタッフの心にとどまらない点です。厚生労働省のマニュアルでも、心ないクレームや理不尽な要求への対応は従業員の心身に大きな負担を与え、職場を離れる一因になりうると指摘されています。接客の現場で「何を言っても納得してもらえない」「謝っても許されず、何十分も怒鳴られ続ける」といった状況が重なれば、精神的な消耗は避けられません。
しかも、その影響は個人の不調だけで終わりません。ぴりついた空気は職場全体に広がり、サービス品質の低下や、周囲のスタッフのモチベーション低下も招きます。結果として店舗全体のパフォーマンスにまで及ぶため、「個人のがまん」で片づけず、店舗としての備えを急ぐ必要があります。もともと人員に余裕のない小規模店舗ほど、一人の離職が現場に与える打撃は大きくなります。人手不足の構造そのものについては、レンタカー業界の人手不足が加速…解決しなければならない課題とは?もあわせてご覧ください。
参考:厚生労働省「職場におけるカスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(PDF)

カスハラはレンタカー業界に限った悩みではありません。飲食・医療・小売など、日常的に顧客と接する業界では、すでにさまざまな対策が根づいています。そのまま自店に応用できるヒントも多いので、代表的な取り組みを見ていきましょう。
| 業界 | 主な取り組み | レンタカー店舗への応用 |
|---|---|---|
| 飲食 | カスハラ対応の統一マニュアルを作り、全スタッフで共有 | 受付の対応手順を1枚にまとめ、シフトが替わっても同じ判断ができる状態にする |
| 医療 | 待合室に「暴言・暴力禁止」のポスターを掲示し、来院時に理解を促す | 受付カウンターに対応方針を掲示し、来店時点で組織の姿勢を伝える |
| 小売 | 記録用のカメラや音声録音を導入し、トラブルに備える | 受付エリアに録音・録画を用意し、証拠保全と抑止力を確保する |
共通しているのは、「組織として対応する姿勢を明示する」ことと、「スタッフを一人にしない体制をつくる」ことの2点です。どちらもレンタカー店舗にそのまま取り入れられます。次章では、これらを自店の対策として具体化していきます。

カスハラの影響を抑え、スタッフが安心して働ける環境を整えるには、店舗としての具体的な備えが欠かせません。とくに小規模店舗では対応できる人数が限られるぶん、現場の準備がそのまま離職率や顧客満足度に響きます。ここでは、コストや手間を抑えつつ今日から着手できる5つの対策を、番号順に紹介します。
方針を紙にして受付に掲げるだけで、顧客に組織のスタンスが伝わり、無理な要求への抑止力になります。
対応時の行動手順や具体例を共有し、「その場でどう動くか」を全員がイメージできる状態にします。
やり取りを記録に残すことで、トラブル時の証拠保全と、行き過ぎた言動への抑止の両方が期待できます。
社内で相談しづらい場面に備え、外部の相談機関や専門窓口との連携を検討します。
警告・対応拒否・出入り禁止など、段階に応じたルールを決めておき、判断のぶれをなくして現場を守ります。
5つはどれも独立した施策ですが、順番に意味があります。まず「01 方針の明文化」で組織の姿勢を固め、「02 研修」と「03 記録」で現場の対応力を底上げし、「04 窓口」と「05 ルール」で逃げ道と歯止めを用意する——この流れで整えると、少人数でも抜け漏れなく守りを固められます。受付そのものの負担を仕組みで減らす選択肢としては、レンタカー店舗無人化のリアル|法令を守りながら省人化するハイブリッド店舗運営とはも検討の材料になります。

5つの対策の起点になるのが、対応方針の策定と公開です。企業として明確な方針を示すことは、社内外への強いメッセージになります。とくに小規模店舗では、トップの意思表示がそのまま現場の安心感につながり、スタッフの心理的安全性を高めます。「困ったときは店が守ってくれる」と伝わることが、日々の落ち着いた対応を支えます。
方針を伝える場所の例:
方針に含めたい項目の例:
方針を決めたら、実際にトラブルが起きたときの動き方も一本の流れにしておきましょう。厚生労働省のマニュアルが示す考え方に沿うと、現場の対応は次のステップに整理できます。
トラブル発生時の対応フロー
やり取りを録音・メモで残し、事実を客観的に保全します。
担当者を一人にせず、店長・上長へすぐ共有して判断を仰ぎます。
状況に応じ、警告・対応拒否など店舗としての線引きを決めます。
対応後は担当スタッフの心身をケアし、必要なら外部窓口につなぎます。
方針の公開は、大手レンタカー企業もすでに実践しています。各社が掲げる対応方針は、単なるガイドラインにとどまらず、現場で働く従業員の安心感を高める施策として注目されています。自店の方針を作る際の、実物のお手本として参考になります。
トヨタモビリティサービス株式会社の場合:「カスタマーハラスメントに対する基本的な考え方」を公表し、スタッフが不適切な対応に直面した際の具体的な対応プロセスを提示しています。店頭に対応方針のポスターを掲示するなど顧客への啓発も重視し、安心して業務に従事できる環境づくりを進めています。
参考:トヨタモビリティサービス カスタマーハラスメント対応方針
ニッポンレンタカーの場合:「お客様へのお願い」として、不当な要求や暴言に対してはサービスの提供を控える場合があると明言しています。誠実な対応を前提としつつ、スタッフの尊厳と安全を守る方針を社外へ発信することで、組織全体のスタンスを明確に示しています。
参考:ニッポンレンタカーグループ カスタマーハラスメントに対する基本方針
規模の大小を問わず、「守るべき線を対外的に示す」という発想は共通です。大手の文面をそのまま真似る必要はありませんが、自店の言葉で方針を一枚用意することが、最初の一歩になります。
カスハラは、社会通念を逸脱した過剰な要求や、暴言・威圧・長時間の拘束といった度を越えた言動を指します。商品やサービスへの正当な指摘であるクレームとは区別され、要求の内容や手段が不当なものがカスハラにあたります。厚生労働省も、企業が組織として対処すべき問題と位置づけています。
基本となるのは、対応方針の明文化と掲示、スタッフ研修と対応例の共有、録音・監視カメラの導入、第三者相談窓口の設置、カスハラ顧客への対応ルールの整備の5つです。まず方針を掲示して組織の姿勢を示し、記録と報告の流れを整えるところから着手すると、少人数の店舗でも取り組みやすくなります。
店舗入口や受付カウンターへの掲示、ホームページでの明示、契約書や利用案内への記載が代表的な方法です。掲示する場所を増やすほど、来店前後の複数の接点で組織のスタンスが伝わり、無理な要求への抑止力になります。方針には、不適切な言動の定義、対応プロセス、スタッフ保護の姿勢を盛り込むとよいでしょう。
まず担当者を一人で抱え込ませないことが基本です。対応後は状況を共有し、必要に応じてカウンセリングや休職・復職支援につなげます。社内で相談しづらい場合に備え、外部の相談機関や専門窓口との連携を用意しておくと、スタッフが安心して声を上げられます。
参考になります。トヨタモビリティサービスは対応プロセスと店頭掲示による顧客啓発を、ニッポンレンタカーは不当な要求へのサービス提供を控える方針を、それぞれ公表しています。自店で方針を作る際、実際に公開されている文面が具体的な手本になります。

レンタカー店舗のカスハラ対策は、厄介な顧客トラブルをかわすためだけの手段ではありません。スタッフが安心して働ける健全な運営環境を築くための、重要な経営施策です。現場の安全と心の平穏が確保されて初めて、心のこもった質の高い接客が実現し、ひいては顧客満足度の向上へとつながります。
とくに人員に余裕のない小規模店舗こそ、明文化された対応方針と日々の備えが効いてきます。まずは自店の言葉で方針を一枚まとめ、受付に掲示することから始めてみてください。「組織として守る」という姿勢を示すことが、スタッフの「辞めたい」を防ぎ、長く働ける職場づくりの土台になります。
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